Dr.伊藤のマイホーム湯治
温泉で基礎体温を上げ、免疫力を高める究極の健康法
ノーベル生理学・医学賞を受賞した「一酸化窒素が免疫力を高める」という理論に基づき、江戸時代から伝わる湯治の方法を自宅で実践できる形にして、温泉療法専門医と共に「マイホーム湯治」を開発しました。
温泉療法専門医 医学博士
伊藤 実喜(Ito Miyoshi)
東京上野マイホームクリニック 院長
1998年ノーベル賞、生理・医学賞
米国UCLAのイグナロ博士の研究によれば、NO (Nitric Oxide:一酸化窒素)は情報伝達物質として免疫力を高める役割を持ちます。体温を0.5℃上げると、毛細血管の内皮細胞からNOが分泌され、血管を拡張し、血液の循環を促進します。
1.準備段階⇒体重・体温測定
注意事項:ご高齢の方や体力に自信のない方は半身浴をおすすめします。
入浴前に体重測定と体温測定を行い、乾いたタオルと体温計と手鏡を持参し、顔や頭は濡らさないで入浴します。
(1)先ずは自分の平熱を測定して下さい。
36.5℃でかなりの免疫力、限りなく37℃に近づけば最高。36℃~36.5℃は普通、35℃台は免疫力が弱っています。つまり、身体の冷えは要注意です。
(2)湯加減をしてください。
自分の平熱から0.5℃~1℃の体温を上げる湯船(40℃で20分、41℃で15分、42℃で10分程度が目安)に温泉(温泉宅配でご購入の源泉)を2ℓ~4ℓ加えてください。
温泉を希釈して使用することで湯あたりを防ぎ安全、安心の温泉浴が可能となりました。
希釈しても皮膚から吸収される薬理効果(温泉の泉質によって得られる効果)に大差はありません。
2.入浴⇒発汗観察
(3) 入浴開始
湯船に浸り、約5分~10分で顔に汗が出てくるのを確認します(鏡で確認)。発汗がNO(一酸化窒素)の分泌開始を示します(私の場合は7分後にNOが分泌されます)。
3.血管・筋肉ストレッチ⇒免疫力アップ
(4)全身の血管ストレッチ(ラジオ体操でOKですが、バンザイ姿勢とひねりが重要です)、関節ストレッチ、など行います。
4.環境省が定める温泉の効能(適応症)
温泉の効能には以下のものがあります。
- アトピー性皮膚炎・皮膚乾燥症・尋常性乾癬・表皮化膿症・慢性湿疹
- 喘息または肺気腫
- 高血圧(軽症)
- 糖尿病
- 関節リウマチ・痛風・変形性関節症・腰痛症、神経痛、五十肩・強直性脊椎炎
- 冷え性・抹消循環障害
- 切り傷
- 高コレストロール血症
- 自律神経不安定性・ストレスによる諸症状(睡眠障害)、うつ症状・不眠症
- 胃腸機能の低下・便秘・十二指腸潰瘍・委縮性胃炎・胆道系機能障害・逆流性食道炎
- 鉄欠乏性貧血
- 痔の痛み
- 病後回復期・健康増進疲労回復
- 筋肉や関節の慢性的な痛みやこわばり、運動麻痺による筋肉のこわばり
詳細は環境省のホームページ「温泉療養のイ・ロ・ハ」をご覧ください。
5.免疫細胞の活性化
(5)汗の拭き取り
汗は乾いたタオルで拭き取ります。一度NO(一酸化窒素)やHSP(熱ショックプロテイン)のスイッチがONになれば、足湯や半身浴でも大量の汗が出ます。約30分の入浴でタオルは老廃物で濡れますので、各自確認してください。
6.腸の免疫力の回復
腸の免疫力回復
腸(小腸と大腸)には以下の7つの重要な機能があります。
1.合成(様々な酵素、ビタミン、ホルモンを作る)
2.解毒(腸内細菌が有害物質や毒素を排出)
3.消化(食べ物を細かく分解する)
4.吸収(栄養素を体内に吸収する)
5.免疫(リンパ球が腸内細菌と協力して病原菌やウイルスから体を守る)
6.浄血(サラサラ血液を作る)
7.排泄(不要なものを排出する)
以上の7つの医学的効用が確認されています。
3日以上便がない、軟便、下痢、ポロポロ便などの症状は腸機能の低下を示し、感染症などにかかりやすくなります。対策として以下の5つを実践してください。
「腸」能力の向上対策
1.マイホーム湯治で体を温めてNOとHSPを増やす
2.腸内細菌のエサとなる発酵食品(納豆、キムチ、味噌汁、ヨーグルト)を摂取
3.植物繊維(海藻、キノコ類、ごぼう、果物など)を摂取
4.過食を避ける(食べ過ぎず太らない)
5.十分な睡眠を摂り腸を休める
まとめ
免疫力は、温泉を使ったマイホーム湯治で30分ほど温まり、バナナ状の排便があれば良好です。30分のマイホーム湯治で約300gの体重減が見込めますので、体重計で確認してください。入浴後30分は温かさを維持し、冷たい牛乳を飲むと完璧です。
この方法は標準的なものであり、疾患のある方は主治医にご相談ください。また、教えて先生のQ&Aコーナーからもご相談を承っております。効果には個人差があり、自己責任で実践してください。
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温泉療法専門医 医学博士 伊藤 実喜(Ito Miyoshi) 監修